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【特集】2026年の「ワンルームマンション投資」トレンド…「入居者ニーズ」の変化と「選ばれる物件」

昨今の不動産投資市場は、単なる「収益性」の追求から、入居者の「QOL(生活の質)」をいかに支えられるかという「実需」に即した視点へと大きくシフトしています。2026年現在、かつては「あれば嬉しい」程度だった設備が、今や「なければ候補にも入らない」必須条件となりつつあります。
本稿では、税理士という資産形成の専門家としての視点から、最新の入居者ニーズの変遷と、将来にわたって資産価値を維持し続ける「選ばれる物件」の共通点について解説します。供給数が絞られ、物件の質がこれまで以上に問われる時代に、私たちが注目すべき投資戦略の本質に迫ります。
ポストコロナで定着した「新しい住まいニーズ」

コロナ禍を経て、高い居住性を備えたワンルームマンションが増えています。2026年の賃貸市場において、入居者が物件に求めるのは「快適なプライベート空間」と「高度な利便性」の融合です。
高速インターネットは「ライフライン」
現在、単身者が物件を選ぶ際の最優先事項は「インターネットの速度」です。単なる「ネット無料」だけでは不十分で、1Gbps以上の高速回線が安定して利用できるかどうかが、空室リスクを左右する最大の要因となっています。在宅ワークの定着はもちろん、高画質な動画配信サービスの普及やオンラインゲームの一般化により、回線速度の遅延は入居者にとって致命的なストレスとなります。税理士の立場から見ても、ネット環境の充実は「賃料下落を食い止めるための最も投資対効果(ROI)が高い設備投資」であると断言できます。
「再配達ゼロ」を目指す宅配ボックスの進化
ネットショッピングが生活基盤となった現在、宅配ボックスはもはや「標準装備」です。しかし、2026年のトレンドは、単にボックスが設置されていることではなく、「世帯数に対して十分な容量があるか」や「冷蔵・冷凍対応のボックスがあるか」といった利便性の深掘りに移っています。共働きや多忙な単身者にとって、荷物を受け取れないストレスは想像以上に大きく、これが整っていない物件は、更新時の退去理由になりかねません。
セキュリティとスマートライフ
防犯意識の高まりから、オートロックやモニター付きインターホンは必須ですが、最近では「スマートロック」や「スマホ連携のホームセキュリティ」へのニーズが急速に高まっています。鍵を持ち歩かずに済む利便性と、外出先からでも来客を確認できる安心感。これらは、特に20代〜40代のデジタルネイティブ世代にとって、物件を選ぶ際の強力な動機付けとなっています。
築年数が経っても「選ばれる物件」の共通点

投資用物件を検討する際、多くの初心者は「表面利回り」という数字に目を奪われがちです。しかし、30年、35年という長期スパンで資産運用を考えるなら、真に注目すべきは「経年による劣化をいかに抑え、競争力を維持できるか」という点にあります。
立地の優位性と「出口戦略」
不動産価値の8割は立地で決まると言われますが、2026年の市場では、単に「駅から近い」だけでなく、再開発エリアや人口流入が続く都心部など、資産としての「換金性(流動性)」が高い場所かどうかが厳しく問われています。税務申告の現場でも、好立地の物件を保有している方は、将来的な売却(出口戦略)の選択肢が広く、結果として相続税対策や資産圧縮の効果も最大限に享受できている傾向があります。
「管理の質」が利回りを守る
物件が古くなっても選ばれ続けるためには、適切なメンテナンスが不可欠です。共用部分の清掃が行き届いているか、外壁塗装や屋上の防水工事などの長期修繕計画が着実に実行されているか。これらは一見地味ですが、実は賃料の下落を防ぐための最強の盾となります。 特に近年注目されている「管理計画認定制度」などの基準を満たしている物件は、管理状態が透明化されており、中古市場に出た際も高く評価されます。清掃が行き届いていないゴミ置き場や、薄暗い共用廊下は、内見時の成約率を著しく低下させるだけでなく、入居者の質そのものも下げてしまうリスクを孕んでいます。
設備の「アップグレード」余地
新築時の設備が素晴らしいのは当然ですが、10年、15年と経過した際に、最新の設備へ容易に更新できる設計になっているかも重要です。例えば、配管のメンテナンス性や、スマート家電を導入しやすい電気容量の確保など、将来の「価値向上」を見越した造りになっている物件こそ、築年数を感じさせない魅力を放ち続けます。
2026年以降を生き抜く投資戦略

2026年現在、東京をはじめとする主要都市では「ワンルームマンション規制」により、新規の物件供給数が抑制される傾向にあります。これは、既存の質の高い物件にとっては、希少価値が高まる追い風となります。
「安さ」よりも「質」への投資
高年収の会社員が不動産投資を行う最大のメリットの一つに、損益通算による節税効果や、生命保険代わりとしての機能があります。しかし、節税のために「質の低い安価な物件」を購入するのは本末転倒です。 資産価値が目減りしやすい物件は、長期的にはキャピタルロス(売却損)を生み出し、運用のトータル収益を悪化させます。2026年以降の戦略として重要なのは、多少価格が高くても「賃貸需要が途切れない質の高い物件」を選び、安定したキャッシュフローを確保することです。
目利きの重要性とパートナー選び
不動産投資は、購入して終わりではありません。むしろ、購入してからが運用のスタートです。供給が絞られる中で、優良な物件を確保するためには、開発から販売、さらには賃貸管理までを一貫して手がける企業の「目利き」を頼るのが賢明な判断と言えます。 特に、入居者ニーズの細かな変化をいち早くキャッチし、それを物件開発に反映させている企業。そして、長期的な管理体制に定評がある企業の物件は、投資家にとって「予期せぬ修繕費の増大」や「長期空室」といった税務上のリスクを低減させることにつながります。
まとめ
2026年のワンルームマンション投資を取り巻く環境は、かつての「投機的」なものから、着実な「実物資産形成」へと成熟しました。入居者のライフスタイルの変化に寄り添い、高速ネット環境やセキュリティ、そして宅配の利便性といった「現代の必須インフラ」を備えた物件こそが、将来にわたって高い稼働率を維持できるのです。
投資未経験者にとって、物件選びの判断基準は難しく感じられるかもしれません。しかし、本質はシンプルです。「自分が住みたいと思えるか」「10年後、20年後の入居者の姿を想像できるか」。この視点を忘れず、長期的な視点で資産価値を維持できる物件を見極めることが、不動産投資を成功に導く唯一の道となります。
目先の数字だけでなく、その物件が提供する「住まいの質」に目を向けること。それが、2026年以降の不透明な経済状況を生き抜く、最も堅実な投資戦略となるはずです。
<著者プロフィール>
長岡 理知
長岡FP事務所合同会社 代表社員
2005年大手生命保険会社に入社。2009年より大手住宅メーカー専属FPとして家計相談業務をスタート。住宅購入時の相談は累計3500世帯を超える。2020年に保険会社を退職し、住宅専門の独立系FP事務所を設立。住宅を購入する時の予算決めと家計分析、リスク対策を専門業務とする。建物の構造・仕様・施工品質による維持費の違いや寿命に着目し、安易な建物価格での比較に警鐘を鳴らしている。
株式会社 青山メインランド
代表取締役 西原良三